孫邐安「無条件に⾒ることは愛と等しいのか?」

修士小論文・作品

本論⽂は「無条件に⾒ることは愛に等しいのか?」という核⼼的な問題を掲げ、哲学理論と芸術的実践を組み合わせることで、両者の関係と差異について探究したものである。無条件に⾒ることという⾏為は、判断を超越する倫理的な⾏為であり、個体の真実の姿を理解し、受け⼊れることに焦点を当てている。⼀⽅で、愛はより複雑で動的な実践⾏為であり、受容に加えて感情的なつながりや責任、さらに具体的な⾏動を含む。本論⽂では、無条件に⾒ることが愛の発⽣を触発する要素となることを指摘しつつ、その限界ゆえに、愛が必要とする双⽅向性や超越性を完全には満たせないことを論じている。
Lewisの『The Four Loves』、Fromm の『The Art of Loving』、そして Rogers の無条件肯定的関⼼の理念を分析することを通じて、本論⽂は、孤独と差異の中で愛がどのように⽣成されるのかをさらに明らかにしている。また、アニメーション作品『Holy Feces』を例として挙げ、愛は無条件に⾒ることに依存するものではなく、不完全な受容と継続的な実践の中でその意味が⽣まれることを⽰している。
本論⽂の最終的な提⾔として、愛とは⽭盾を積極的に受け⼊れる選択であり、未完成性の中にその独⾃の価値を具現化するものであるとする。無条件に⾒ることは愛のきっかけとなるものの、愛は⾒ることをはるかに超え、⼈間関係における最も深遠で、かつかけがえのないテーマの⼀つとなっている。

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